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東京高等裁判所 昭和22年(ナ)50号 判決

主文

原告の請求を棄却する

訴訟費用は原告の負擔とする

事実

原告訴訟代理人は本件口頭辯論期日に出頭しないので當裁判所は訴状を陳述したものと看做した

右訴状によれば原告は昭和二十二年四月三十日執行された新潟縣三條市々會議員選擧を無効とする判決を求めるものであつて、その請求原因とするところは次のようなものである

原告は右期日に執行された三條市會議員選擧に立候補した者であるが、同選擧の第七投票分會場に於ては投票終了後投票凾に完全な施錠を爲さなかつたし、又不正も相當に行われたと認められるから、右選擧は選擧の規定に違反し無効である、原告は右の理由に基いて異議の申立をしたが、被告は之を排斥する旨の決定をした、その後原告は、更に新潟縣選擧管理委員會に對し訴願をしたけれども之も亦容れられなかつたのである、仍て原告は、前記選擧を無効とする旨の判決を求める爲本訴に及んだ

被告訴訟代理人は原告の請求を棄却するとの判決を求め、原告主張の事實中第七投票分會場の投票凾に完全な施錠のなかつたこと、その他不正が行われたことを否認し、その余の事實は認めると述べた(立證省略)

理由

原告主張の日その主張のような選擧が行われ、原告が右選擧に立候補したこと、原告主張のような決定訴願の裁決があつたことは被告の認めるところであるが、第七投票分會場の投票凾に投票が終つた後完全に錠がかけられなかつた事實及びその他不正行為があつた事實については、これを認めるに足る證據がない、尤も原告に於て眞正に成立したことを自白したものと看做される乙第二乃至第六號證によれば右投票凾の外蓋の施錠にその後僅かな不備が生じたことは認められるけれども、投票凾閉鎖後この投票凾が何等の異變なく結局選擧長に引渡され開票されるに至つた事實も亦右證據により明であるから、右の不備は直ちに選擧の結果に異動を及ぼす虞ある場合に該當しないのである、然らば被告が異議の決定に於て又新潟縣選擧管理委員會が訴願裁決に於て何れも原告の主張を排斥したのは正當である

仍て原告の請求を棄却し民事訴訟法第八十九條を適用して主文の如く判決する

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